こんにちは、エンジニアのオオバです。
昨今根強いブームが続いている自作キーボード(自キ)。本記事では「Mac環境」で自キの開発環境を整える方法を解説します。本記事ではオープンソース 「QMK Firmware」 を使用したビルド環境を構築しています。
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Mac環境で自キ開発環境を整える2つのステップ
Mac環境で自キ開発環境を整える方法を2つのステップで解説します。
①HomeBrewでqmkをインストール
②GitHubにアクセスしてqmk_firmwareをダウンロード
ステップ①HomeBrewでqmkをインストール
qmkコマンドを実行するためにHomeBrewでqmkをインストールします。
$ brew install qmk/qmk/qmk
Macユーザーには定番のHomeBrewでインストールするのが手っ取り早いです。
ステップ②GitHubにアクセスしてqmk_firmwareをダウンロード
自キに自作のファームウェアをインストールして拡張します。そのファームウェアを作るためのQMK Firmwareソースコードを手に入れます。GitHubにアップロードされているQMK Firmwareプロジェクトを開きます。ここから最新のQMK Firmwareのソースコードをダウンロードできるのです。
$ git clone --recursive git@github.com:qmk/qmk_firmware.git
cloneのあとに「--recursive」オプションを付けている理由は、qmk_firmwareが他のリポジトリをサブモジュールとして参照しているためです。「--recursive」オプションを付けることでサブモジュールも自動でダウンロードしてくれて便利です。
以上でqmk_firmwareで自キのファームウェアをビルドする環境は整いました。次の章では実際にファームウェアをビルド(ファイルの書き出し)をやってみます。
QMK Firmwareでファームウェアをビルドする方法3つのステップ
qmk_firmwareにはさまざまな自キを取り扱っています。あなたがビルドしたいキーボードを選択し、カスタマイズしたキーマップを元にビルドします。最終的にはそのファームウェアをキーボードに転送することで動き出します。
本章ではファームウェアをビルドする方法を3つのステップで解説します。
①キーボードの種類を決める
②キーマップファイルの作成
③qmkコマンドでファームウェアをビルド
ステップ①キーボードの種類を決める
自キのファームウェアをビルドする前にファームウェアを書き込むキーボードの種類を決めます。今回は「Corne Cherry(コーンチェリー)」というキーボードにファームウェアを書き込むことを想定してビルドします。
qmk_firmware/keyboards
フォルダ内には多くのファームウェアをビルドするためのファイルが格納されています。Corne Cherryは qmk_firmware/keyboards/crkbd
です。「crkbd」フォルダ内にCorne Cherry用のファイルが格納されています。 ステップ②キーマップファイルの作成
キーボードの種類が決まったら、次にキーマップファイルを作成します。キーマップとはキーボードのキーとアサインされた内容をセットにしたデータです。例えば本来「A」キーを押したら「A」が打たれますが、「A」キーを押したときに「1」を打つことも可能です。キーマップは自キにとって醍醐味の一つです。
今回は初心者向けにビルドする方法の紹介ですので、デフォルト状態のキーマップを書き出してみましょう。qmk_firmware/keyboards/crkbd
フォルダ内の 「keymaps」 を開きます。「keymaps」フォルダ内にさまざまな設定のキーマップデータが格納されているのです。
上の動画のように「default」フォルダをコピーアンドペーストして、フォルダ名任意の名前にを変えてください。ここでは「mykeymap」という名前にしました。
以上でキーマップファイルの作成は完了です。本記事では割愛しますが、キーマップを変更する場合はmykeymapフォルダ内の「keymap.c」を編集することになります。
ステップ③qmkコマンドでファームウェアをビルド
最後にCorne Cherryのファームウェアをビルドします。次のコマンドでカレントディレクトリを「qmk_firmware」に移動しましょう。
$ cd qmk_firmware
qmk compile
コマンドを使ってビルドします。qmk compileコマンドの文法はこちらです。
$ qmk compile -kb キーボード名 -km キーマップ名
キーボード名には「%{ステップ①キーボードの種類を決める}」で決めたキーボードのフォルダ名を。キーマップ名には「ステップ②キーマップファイルの作成」で作成したキーマップフォルダ名を入力します。
$ qmk compile -kb crkbd -km mykeymap
今回はCorne Cherry用のファームウェアなので上記のコマンドになります。では、実行してみましょう。
このようにコンパイルが成功したら、qmk_firmwareフォルダ直下にファームウェアが書き出されます。
「chkbd_rev1_mykeymap.hex」というファイルがファームウェア本体です。このファイルを自キに転送(インストール)することでカスタマイズした設定でキーボードが動くようになるのです。
MacとQMK Firmwareで自作キーボードの開発環境を整える方法のまとめ
本記事ではMacでQMK Firmwareをビルドして自作キーボード開発の環境を整える方法を紹介しました。簡単に内容をまとめます。
①HomeBrewでqmkコマンドのインストール
②GitHubからqmk_firmwareのダウンロード
③自作キーボードの種類を決める
④キーマップを編集する
⑤qmk compileでファームウェアを書き出す
⑥自作キーボードに転送する(※本記事では割愛)
こんな感じです。QMK Firmwareプロジェクトをダウンロードして思うことはファイル数が多いこと。どこから手をつけてよいのか分かりづらいですよね。しかし、見るべきポイントは決まっています。 「keyboards」フォルダ とその中の 「keymaps」フォルダ です。
qmk compileコマンドはkeyboardsとkeymapsの名前を設定するだけですので、1度わかってしまえばとても単純です。
「自キのファームウェアがよくわからない」という方は、本記事を読み直して1つずつクリアしてみてください。
この記事があなたの人生を豊かにする手助けになるとうれしいです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
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